退去後に発生した電気料金について、前入居者様から「もう住んでいないのに、なぜ自分が支払わなければならないのか」と問い合わせを受けることがあります。
ライフラインは、退去しただけで自動的に契約が終了するとは限りません。電気・ガス・水道・インターネットなどは、契約者本人による解約手続きが必要になる場合があります。
前入居者様の契約が残ったままになると、退去後も料金が発生する可能性があるだけでなく、新しいご入居者様の契約手続きが進まない、管理会社様が前入居者様や事業者へ確認しなければならないなど、次の入居対応にも影響します。
特に電気では、「前入居者様の名義が残っていて新しい契約を受け付けてもらえない」というケースがあります。
この場合、単に新しい契約を申し込めば解決するとは限らず、既存契約の状況を確認したうえで対応する必要があります。
そこで本記事では、前入居者様のライフライン解約漏れによって起こりやすい5つのトラブルを取り上げ、管理会社様がどのように対応すればよいのかを具体的に解説します。
退去時にどのような案内をすればよいのか、解約漏れが判明したときに何を確認すべきかも整理していますので、退去対応の見直しにもお役立てください。
そもそも前入居者様の解約漏れとは?
前入居者様の解約漏れとは、退去したあとも電気・ガス・水道・インターネットなどの契約が終了しておらず、前入居者様名義の契約が残っている状態を指します。
賃貸借契約が終了したからといって、各ライフラインの契約まで自動的に終了するわけではありません。契約している事業者へ解約の連絡をする、停止日を指定するなど、ご入居者様側で手続きが必要になるサービスがあります。
退去時は、引越しの準備や荷造り、住所変更などさまざまな手続きが重なります。そのため、「あとでやろうと思って忘れていた」「退去すれば自動的に止まると思っていた」といった理由で、解約手続きが抜けることがあります。
解約漏れが起こると、まず前入居者様側に料金の問題が発生する可能性があります。契約が継続している間の料金について、退去後に請求を受けることがあるためです。
一方、管理会社様にとっても他人事ではありません。次のご入居者様から電気やインターネットの申込みを受けた際、以前の契約が残っていることで手続きが進まない場合があります。
その場合、前入居者様に連絡して解約を依頼したり、契約先の事業者へ状況を説明したり、新しいご入居者様へ進捗を案内したりと、本来は予定していなかった対応が発生します。
特に、前入居者様と連絡が取れないケースでは、契約先の確認から始めなければならず、対応が長引きやすくなります。
また、部屋番号や契約住所に相違があると、別の部屋の契約を前入居者様のものだと誤認する可能性もあります。
そのため、「契約が残っているからすぐに止めてもらう」という進め方ではなく、対象住戸の住所や部屋番号、現在の入居状況を確認したうえで対応することが大切です。
解約漏れを完全になくすことは難しくても、退去受付時に対象となるライフラインを案内し、退去前にもう一度確認する運用を決めておけば、発生を減らしやすくなります。
前入居者様の解約漏れによるトラブル事例
前入居者様の解約漏れで問題になりやすいのは、退去後に料金が発生することだけではありません。
前入居者様の契約が残っていることで新しいご入居者様が電気を契約できなかったり、契約していた電力会社が分からず確認に時間がかかったりすることもあります。
また、解約漏れによって退去後も料金が発生し、その支払いをめぐって前入居者様とのトラブルにつながるケースも考えられます。
解約漏れは、前入居者様だけの問題ではなく、新しいご入居者様の契約や管理会社様の入退去業務にも影響する可能性があります。
ここでは、管理会社様が実際の業務で遭遇しやすい3つのケースを確認していきます。
事例①前入居者様の契約が残っており、新入居者様が電気を契約できない
電気の解約漏れによって特に問題になりやすいのが、前入居者様名義の契約が残っていることで、新しいご入居者様の契約手続きを進められないケースです。
新しいご入居者様が電気を申し込もうとしても、同じ住所・部屋で別名義の契約が残っているため、そのまま手続きを進められないことがあります。
このような場合、まず確認したいのが、現在残っている契約が本当に前入居者様のものなのかという点です。
住所や建物名、部屋番号を確認するとともに、対象住戸の現在の入居状況も確認します。
住所や部屋番号の登録に誤りがある場合、別の住戸の契約を前入居者様の契約と誤認している可能性があるためです。
対象住戸に前入居者様の契約が残っていることを確認できた場合は、まず前入居者様へ連絡し、利用していた電力会社で解約手続きを行ってもらいます。
しかし、前入居者様がすでに転居しているため電話がつながらない、連絡しても返答がない、解約を依頼してもすぐに対応してもらえないといったケースもあります。
その場合、管理会社様から電力会社へ現在の状況を伝え、新しいご入居者様の契約を進めるためにどのような対応が必要なのか相談することになります。
電力会社へ相談する際は、単に「前入居者様の契約を解約してほしい」と伝えるのではなく、「新しいご入居者様が契約を申し込んだところ既存契約が残っていることが分かった」「前入居者様へ連絡しているものの解約手続きが進んでいない」など、現在の状況を具体的に説明するとよいでしょう。
ただし、電気の契約は前入居者様本人と電力会社との契約です。
契約者本人でなければ確認できない情報や手続きもあるため、管理会社様から問い合わせれば、必ずその場で既存契約を解約できるとは限りません。
また、既存契約が確認できたからといって、対象住戸を十分に確認しないまま停止を依頼することも避ける必要があります。
万が一、部屋番号などの登録に誤りがあり、現在入居している別のご入居者様の契約だった場合、誤って電気を止めてしまうおそれがあります。
前入居者様の解約漏れが疑われる場合は、対象住戸と契約状況を確認したうえで前入居者様へ解約を依頼し、対応が難しい場合には電力会社へ状況を相談することがポイントです。
また、新しいご入居者様の入居日が迫っている場合には、既存契約の確認と並行して、新しい契約をいつから開始できるのかについても確認しておくとよいでしょう。
このような解約漏れが発生すると、前入居者様への連絡、電力会社への問い合わせ、新入居者様への状況説明など、本来であれば発生しない確認・調整業務が管理会社様に追加されることになります。
そのため、退去時点で電気をはじめとしたライフラインの解約を案内し、できる限り退去前後に手続きを完了してもらうことが大切です。
事例②前入居者様がどの電力会社と契約していたかわからない
前入居者様の電気契約が残っていることが分かっても、どの電力会社と契約していたのか分からず、対応に時間がかかるケースがあります。
前入居者様と連絡が取れる場合には、契約していた会社名や請求書、利用明細、メールなどを確認してもらうことで、契約先を把握できる可能性があります。
一方、前入居者様と連絡が取れない場合には、そもそもどの会社へ問い合わせればよいのか分からず、調査に時間がかかることがあります。
このような場合、契約先が分からないまま複数の電力会社へ問い合わせるのではなく、新しいご入居者様から地域の電力会社へ連絡し、現在の状況を説明する方法があります。
たとえば、「前入居者様の契約が残っている可能性がある」「新しく入居するため、自分の名義で電気を契約したい」と伝えることで、状況を確認してもらえる場合があります。
そのため、前入居者様の契約先が分からない場合でも、まずは新しいご入居者様から地域の電力会社へ事情を説明し、申込みが可能か確認してもらうとよいでしょう。
前入居者様の契約先を特定することだけに時間をかけるのではなく、新しいご入居者様が契約を開始できる方法がないかを確認することがポイントです。
事例③解約を忘れていた期間の電気料金について、前入居者様から支払いを拒否された
解約漏れによって問題になりやすいもう一つのケースが、退去後に発生した電気料金の支払いです。
前入居者様からすると、すでに物件を退去しているため、「自分はもう住んでいないので、退去後の料金は支払いたくない」と考えることがあります。
一方で、電気料金などは電力会社と契約者との契約内容に基づいて請求されます。
そのため、退去日だけを基準に管理会社様が料金の負担者を判断するのではなく、まず契約先の電力会社へ契約終了日や請求期間、請求内容を確認することが必要です。
ここで注意したいのが、管理会社様が独自に「前入居者様が支払うべき」「新入居者様が支払うべき」と判断しないことです。
契約期間や実際の利用状況、電力会社側の処理状況などによって確認すべき内容が異なる可能性があります。
まず電力会社へ契約状況や請求内容を確認し、その内容をもとに前入居者様へ説明するほうが、不要な行き違いを防ぎやすくなります。
また、料金に関するトラブルは、退去後に解約漏れが判明してから説明するよりも、退去前の段階で注意事項を伝えておくことが重要です。
たとえば、退去案内のなかで「電気・ガス・インターネットなどのライフラインはご自身で解約手続きが必要です」「解約手続きを行わなかった場合、退去後も料金が発生する可能性があります」と案内しておく方法があります。
退去後の料金トラブルを防ぐためにも、退去時にライフラインの解約が必要であることを明確に伝え、ご入居者様自身で手続きを完了してもらうことがポイントです。
解約漏れの支払いは誰が行うべきか
解約漏れが起きたとき、管理会社様が最も判断に迷いやすいのが「誰が料金を支払うのか」という点です。
一般的に、電気などの料金は契約している事業者から契約者へ請求されます。
ただし、管理会社様側で一律に判断するのではなく、契約先・契約終了日・利用期間・請求内容を確認したうえで対応する必要があります。
解約漏れの場合は契約者が支払う義務がある
前入居者様名義の契約が残っている場合、まず確認するのは、その契約がいつまで継続していたのかという点です。
退去日と契約終了日が同じとは限りません。
前入居者様が解約手続きをしていなければ、契約上は退去後も契約が継続している状態になっていることがあります。
そのため、「退去後は使っていない」という理由だけで、管理会社様が請求の有無を判断することはできません。
契約先の事業者へ、契約終了日や請求期間について確認し、その内容をもとに前入居者様へ説明することが基本です。
また、新しいご入居者様が入居している場合は、前入居者様の既存契約の問題と、新しいご入居者様の利用開始手続きを分けて考える必要があります。
新しいご入居者様がすでにいる場合も同様
新しいご入居者様がすでに入居している、あるいは入居日が迫っている場合は、料金の確認だけでなく、新しい契約をいつ開始できるのかも重要です。
前入居者様名義の契約が残っている場合、新しいご入居者様が申し込んだ電力会社から「既存契約があるため手続きを進められない」と案内されることがあります。
この場合は、前入居者様へ解約を依頼するか、管理会社様から電力会社へ状況を伝え、既存契約の取り扱いについて相談します。
ただし、前述のとおり、部屋番号や住所の登録に相違がある場合は、別の契約を誤って止めないよう注意が必要です。
管理会社様側で対象住戸に現在誰が入居しているのかを確認し、対象契約を特定したうえで進めましょう。
新しいご入居者様には、手続きが止まっている理由と現在確認中であることを早めに伝えておくと、入居直前になって「電気が使えないのでは」と不安を与えることを防ぎやすくなります。
料金問題と新規契約の開始は別の論点です。
前入居者様への料金確認に時間がかかっているからといって、新しいご入居者様の手配まで後回しにせず、それぞれ並行して確認することがポイントです。
管理会社様としてできること
解約漏れが起きてから対応するより、退去前に確認できる仕組みを作っておくほうが、管理会社様の負担を減らしやすくなります。
まず行いたいのが、退去受付時の案内です。
退去の連絡を受けた段階で、電気・ガス・水道・インターネットなど、ご入居者様自身で解約が必要なサービスを案内します。
その際、「退去日までに解約してください」とだけ伝えるのではなく、「契約先への連絡が必要です」「解約が完了していない場合は退去後も契約が残る可能性があります」と理由まで伝えると、ご入居者様にも必要性が伝わりやすくなります。
次に、退去日が近づいた段階で確認します。
たとえば退去前に連絡する機会がある場合は、「電気・ガス・水道・インターネットの解約手続きはお済みですか」と確認しておくと、手続きを忘れている方へのリマインドになります。
さらに、鍵返却時や退去立会い時に最終確認できる運用であれば、もう一度確認するとよいでしょう。
重要なのは、担当者の記憶だけに頼らないことです。
退去受付時にチェックする項目を決め、「電気」「ガス」「水道」「インターネット」などを一覧化しておけば、担当者が変わっても同じ流れで確認できます。
また、電気やインターネットについては、契約会社名も分かる範囲で確認できるようにしておくと、解約漏れ発生時の確認がしやすくなります。
退去時の確認項目は、物件ごとに違いが出やすい点にも注意が必要です。
たとえば水道料金が共益費に含まれている物件や、インターネット無料設備が導入されている物件では、ご入居者様自身で解約する必要がない場合があります。
一律に「すべて解約してください」と案内するのではなく、その物件でご入居者様が個別契約しているサービスを確認したうえで案内したほうが、誤案内を防ぎやすくなります。
反対に、管理会社様側で把握していない個別契約があることも考えられます。
退去予定者様へ「ご自身で契約している電気・ガス・水道・インターネット等がないか」を確認し、該当するものがあれば契約先への解約手続きをお願いする流れにしておくとよいでしょう。
また、退去日とライフラインの停止日が一致しているかも確認したいポイントです。
退去日より早く停止すると、退去立会いや清掃などに影響する場合があります。一方で、停止日を設定し忘れると契約が残る原因になります。
ご入居者様には、退去日や実際に使用を終える日を確認したうえで、各事業者へ停止日を伝えてもらうよう案内すると分かりやすくなります。
管理会社様から前入居者様へ送る案内も、毎回文章を考える必要はありません。
「ご退去にあたり、電気・ガス・水道・インターネットなどの契約がある場合は、各事業者へ解約手続きをお願いいたします。退去後も契約が残っていると料金が発生したり、次のご入居者様の手続きに影響したりする場合があります」といった文面をあらかじめ用意しておけば、案内しやすくなります。
退去受付時・退去前・退去時の3段階で確認する仕組みにしておくと、一度の案内だけで終わらせるより解約漏れを防ぎやすくなります。
一方、管理戸数が多い会社では、この確認を一件ずつ行うこと自体が負担になる場合があります。
その場合は、自社でどこまで対応し、どこから外部サービスを活用するのかを整理することも選択肢です。
解約のアナウンスが負担に感じるなら「退サポ」がおすすめ
管理会社様が退去予定者様へ一件ずつ連絡し、ライフラインの解約状況を確認する運用は、管理戸数や退去件数が増えるほど負担になりやすくなります。
レプリスの「退サポ」では、退去予定者様に対してライフラインの解約についてご案内します。
前入居者様が「退去すれば自動的に解約されると思っていた」「手続きを忘れていた」といった状態のまま退去することを防ぐため、退去時に必要な手続きを案内するサービスです。
管理会社様にとっては、担当者が一件ずつ解約について案内する業務を減らしながら、解約漏れによる後日の確認対応を減らすことにつなげられます。
また、退去予定者様が新しい住居へ引越す場合には、新居で必要となるライフラインについてもご希望に応じて案内します。
ここで整理しておきたいのは、退去時の解約案内と、新居でのライフライン案内は役割が異なるという点です。
退去する物件では、現在契約している電気・ガス・水道・インターネットなどの解約漏れを防ぐための案内を行います。
一方、新しい住居では、必要に応じて電気・ガス・インターネットなどの利用開始に向けた案内を行います。
管理会社様が自社ですべて対応しようとすると、「前の家の解約確認」と「新居の手配案内」の両方を行うことになります。
退サポを活用することで、退去予定者様への案内業務を整理し、担当者様が物件管理や退去精算など本来の業務へ時間を使いやすくなります。
また、ライフライン取次につながった場合は、管理会社様の付帯収入につながる点も特徴です。
ただし、退サポを導入すればすべての解約トラブルが自動的になくなるというものではありません。
前入居者様と連絡が取れない場合や、すでに契約残りが発生している場合などは、状況に応じた確認が必要です。
そのため、「解約漏れが発生したあとの処理をなくすサービス」というより、退去時の案内を仕組み化し、解約漏れそのものを減らすための方法として考えると分かりやすいでしょう。
解約漏れのトラブルを防止することで業務を効率化させよう
前入居者様のライフライン解約漏れは、料金トラブルだけでなく、新しいご入居者様の契約手続きに影響する場合もあります。
こうしたトラブルを防ぐには、退去受付時に解約が必要なライフラインを案内し、退去前に手続き状況を確認できる流れを整えておくことが大切です。
あらかじめ対応方法を決めておけば、案内漏れを防ぎやすくなり、退去後に発生する確認や問い合わせの負担軽減にもつながります。
レプリスでは、退去予定者様へのライフライン解約案内を行う「退サポ」を提供しています。
解約案内にかかる業務負担を減らしたい管理会社様は、退去対応を効率化する方法の一つとしてご検討ください。





